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<<アレルギー − 問題点と解決法 −>> |
ALLERGIES - The challenge and the solutions |
published by Spectrum Labs, Inc. (ARIZONA U.S.A.) |
1.アレルギー増加の原因 “私は、以前と比べてアレルギー症例がずっと増えたと思っている。”獣医師に最近のアレルギーの動向について尋ねてみると、 おそらくこのような答えが返ってくるだろう。事実、獣医療と人医療の両方で、数年前と比較してアレルギーの症例が数多く見られるようになった。 それでは獣医療において何が原因となって、このアレルギー症例の増加を引き起こしたのだろうか。 まず、第一の原因としてアレルギー発生率の高い犬種の交配である。以前、臨床に携わる獣医師が コッカースパニエルは貧乏な獣医師を支援するために裕福なオーナーに飼ってもらうべきだと話していた。 彼の言うことに正確な根拠はないが、他の犬種よりもアレルギー発生率の高い犬種がいるという事実はこの問題の明らかな原因となっている。 第二に重要な原因として、高度に合成加工され、多量の保存料・添加物が含まれているペットフードである。 しかし、これは獣医療に限られた問題ではなく、第10回国際食物アレルギーシンポジウム(1999年11月 シカゴ) において“食物アレルギーは現在の医療において診断が難しい病気である”という見解で合意されたことから、 獣医療においても大差はないと思われる。ところでアメリカ合衆国において、 飛行機の機内食がピーナッツからプレッツェルに変更されたことをご存知だろうか。 なぜなら、ピーナッツはアメリカ合衆国において食物アレルゲンの第1位であり、ピーナッツが原因のアナフィラキシー反応により 少なくとも毎年125人が死亡しているためである。 第三の原因として、大気汚染である。今までにないほどの刺激物の増加により大気が汚染され、 ペットとオーナーの両者が、アレルギーをはじめとした多くの病気にかかりやすくなっている。 |
2.交差反応 アレルゲン間の交差反応は、アレルギーの診断と治療の両方を複雑にしている。 “この動物はアレルギーである。一生、アレルゲンとなっているものを食べたり触れたりしないように。” とよく言われる。これは間違いなく事実であるが、ここにひとつの問題がある、その問題とはアレルゲンとなる物質の決定要因、 つまり実際に抗体が認識し接着する抗原の分子量が、たった8から10個のアミノ酸ほどの大きさだということである。 本来、分子量50,000の蛋白(中等度の大きさ)は450から500個のアミノ酸から構成されており、 抗原を決定する8から10個のアミノ酸は、他の蛋白特に近縁種の蛋白中にも見いだされる可能性がある(おそらく統計学上高い確率で)。 【牛タンパクと多種のタンパクのアミノ酸配列間に交差免疫が存在する。】 アレルゲンを同定する上で、この交差反応に悩まされる例が牛肉である。 事実、調理された肉と生の肉で異なるアレルゲンが存在しており、肉の中には12種ものアレルゲンが同定される。 最も有力な肉の中のアレルゲンの一つは牛タンパクで、数百個のアミノ酸から構成されている。 牛タンパクのアミノ酸配列を多種のものと比較すると、羊と92%、豚と78%、馬と74%、ウサギと72%、鶏でさえ44%の相同性があることが発見されている。 たとえあなたのペットが絶対にウサギを追跡したり捕まえたりしないとしても、牛タンパクによって誘導される抗体が、ウサギタンパクと交差反応を示すということがある。 【ブタクサにアレルギーを示す動物は同じようにスイカにもアレルギーを示すらしい。 しかしこれはまだ解明されていないアレルゲンの1例にすぎない。】 ほとんど知られていないが、スイカとブタクサ、桃とラテックスのように見たところ関係のないアレルゲンが交差反応を示す。 おそらく、なぜ動物がさらされた事のないアレルゲンに対してテストで陽性を示すのかを推測することは難しい。 |
3.アレルギーの解決法 診療のなかで外観上同定できるアレルギーが増えてきた原因は、ノミのコントロール問題に関連している。 “痒がったり掻いている動物をすぐにアレルギーと結びつけるのは短絡的である”という見解は長年にわたって存在している。 Spectrum Labs, Inc.は何年間も、“ノミの存在が見られた動物の掻痒感は、すべてノミが原因というわけではない。” という事をさらに付け加えている。だが、動物が明らかにノミに感染しているときは、掻痒がノミによるものなのか、 アレルギー(たとえば食物アレルギー)によるものなのか説明する事は困難である。 しかし近年、効果的なノミコントロールプログラムが開発されて、なおこれらの動物が依然として掻痒感を示すことから、 ノミ以外にほかのアレルギーも原因として考慮すべきであろう。 それではこれらが意味することは何なのだろう。アレルギーは問題提起の良い機会になる。 Spectrum Labs, Inc.は獣医師にin vitroのIgEテストであるスポットテストサービスを開始し、 それはアレルギー解決の方法のひとつとなるであろう。このため、私たちは以下のことを提供します。 1. スポットテストは一度に92種類のアレルゲンのテストを行うことができる。 2. Spectrum Labs,Inc.のスポットテストは、検査の前に血清から寄生虫性IgEやIgGを除去し、偶発的な 擬陽性や、擬陰性を減少させることができる。 3. アレルギーの検査結果をもとに、アレルゲンとして陽性反応を示した、または示す疑いのある食物を 原材料として使用していないペットフード(療法食および市販食)を選び、検査結果と共にリストアッ プしている。リストアップされたフードを給餌することにより、反応を示した食物アレルゲンの摂取を 効果的に避けることができる。 4. アメリカ農務省は減感作処置セットを製造する企業として Spectrum Labs,Inc.を認可。 同社ではアレルギー検査の実施と治療薬の製造を同じ場所で行うことができる。 |
4.減感作 1)減感作療法について アレルギーの治療に際し、多くの要因を考慮して治療法が決められなければならない。 要因には、原因、症状およびその重篤度、動物の健康状態と年齢、飼い主が望んで治療を受けるか、などがある。 治療法のひとつである減感作療法は、人の医療では約100年前から行われている。 現在、アメリカでは獣医療も含め広く利用されている療法であり、正確な免疫学的機序は完全には判明していないが、 おおよそ以下のようになる。 第1段階:肥満細胞、好塩基球、好酸球の変化(活性化、メディエーターの分泌抑制) 第2段階:IgGおよびIgAblocking antibodyの生成 など 第3段階:IgE生成の抑制、IgE抗体の減少 第4段階:Th2リンパ球サイトカインの抑制 第5段階:細胞性感受性、生物学的反応の減少、アレルギー反応の消失。 このようなステップで減感作が成立していく。すなわち、減感作療法を始めると アレルゲン特異的IgEレベルは最初わずかに増加するが、次に減少し始める。どのぐらいの速さで、 どのレベルまで低下するかは個々の動物により異なる。IgEの減少と同時にアレルゲン特異的IgG濃度(blocking antibody)が 何倍にも増加していく。アレルゲン特異的IgGは、有害なアレルゲンが肥満細胞上のIgEに架橋する前に「吸い取る」役割を果たしている。 減感作薬投与中に、複数の免疫学的変化が起こっている。そのため、免疫異常の生体に減感作は反応しにくくなっている。 もしアレルギーの原因でないアレルゲンが減感作薬に含まれていても、そのアレルゲンに対して アレルギーを発現することはほとんどない。なぜなら、これはIgE応答より、むしろIgG応答を誘導しているからである。 減感作療法は長い期間がかかるので根気を必要とする。多くの獣医師が飼い主に減感作の注射の方法を説明し、 飼い主に注射をしてもらうと思うが、飼い主の承諾と協力が減感作治療の成否を決める最大の要因となるであろう。 2)Spectrum Labs,Inc.の減感作薬について Spectrum Labs,Inc.では先生方に対して、スポットテストの結果に基づいた減感作薬を作成している。 使用アレルゲンは、Biopol Laboratory,INC., Greer Laboratories, Allergy Laboratories などより供給を受けており、 米国農務省の認可を得て、Spectrum Labs,Inc.にて作成している。 3)Spectrum Labs,Inc.の減感作プログラム Spectrum Labs,Inc.のプログラムは、約9ヶ月間で26回の注射を行う。減感作薬は、1セット中に3種類のバイアルがあり、 緑のキャップ、青のキャップ、そして赤のキャップと、キャップカラーにより徐々に薬の濃度が濃くなる。 このバイアルを連続的に変更することにより投与量と濃度を漸増させ、 動物の閾値以下の範囲で臨床症状を示すことなく十分にIgG反応を増加させることができる。 しかしながらすべての動物が同じ閾値ではなく、ある動物では1つのバイアルから次のバイアルへ移行する際に、 もしくは同じバイアルでも投与量を変更する際に閾値を越えてしまう場合がある。 これらの症例においては、単に生体の免疫システムが閾値以下(反応を示す以前の)のポイントに 後進するように反応しているのである。ある症例では動物が反応を示さないために、 あるポイント以下に減らすことができないかもしれない。しかし、このプログラムの終了まで到達しなければ、と考えてはならない。 低濃度でよく反応し、それ以外の範囲に移行できない動物もいるのである。 |
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