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<<検査結果とIgE抗体の経時変化について>> |
published by Spectrum Labs, Inc. (ARIZONA
U.S.A.) & Spectrum Lab. Japan |
このたび先生方より「同じ動物で月日をおいて複数回の検査をしたとき、検査結果が違っているのは何故か」というご質問を頂きました。 SPOT TESTのご利用にあたりまして、より一層のご理解と有効なご活用にお役立ていただきます様、なぜそのようなことがおきるのかをご説明申し上げます。 すでにご承知の通り、当社のSPOT TESTをはじめ試験管内アレルギー検査は、血液中のIgE抗体の種類および量を測定する検査です。 その測定する血液中の抗体は、体内で比較的早い時間で代謝され失活されます。失活までに要する時間は、現在ある程度分かっており、5種類の抗体の生物学的半減期は、ほとんどが数日といわれております(IgGが一番長く20日間程)。特にIgEの半減期は短く2、3日であり、多くの文献上で2日と記されております。 (※表1参照) しかし、生物学的半減期と採血後の試験管内での安定性は異なり、IgEは体外に出ると、抗原と結合する能力は非常に安定し、体外では代謝を受けないため半減期そのものが無意味になります。 体内では、特定のIgEの濃度は継続的に2、3日おきに半減しますが、もし繰り返し同じアレルゲンに曝露された場合、生体は“memory plasma cells”を作り出します。これらのB細胞は長い間循環血液中に残り、それが抗原の曝露に反応してIgEを産生します。 例えば、ある個体がある物質に対してアレルギー症状を起こすとします。その後、そのアレルゲンと長い間接しなかった場合、それに対する循環血液中のIgEを持たなくなりますが、再びそのアレルゲンに曝露された場合には、“memory cells”がその物質に対するIgEを産生します。 ところが、そこには免疫刺激に巻き込まれた別のクラスのプラズマ細胞もあり、特異的な抗原の刺激なしに、あるいはその曝露が短期間の爆発的、散発的で、時間的量的に“memory cells”を作り出すのに不十分な刺激でもIgEを作り出すことがあります。これらの細胞によって産生されるIgEは、濃度が同じであっても“memory cells”によって産生されたIgEよりも抗原との結合能力は低いといえます。それにもかかわらず、こういった状態によって産生されたIgEもしばしばテストにおいて反応し、異なって見える結果を出す要因となります。 当社が一貫して強調している最も重要なことは、この種のどんな検査もその時の状態「スナップショット」を調べるということであります。もちろん検出されるIgEもこのスナップショットの中に含まれております。 動物は常にアレルゲンに曝露され続けており、IgEはその刺激により“memory cells”でも作り出されています。それに加え、一部の散発的(爆発的)曝露によって産生されるIgEも存在します。また、個々の生体においてIgE量の多少あるいは種類が日によっても変化することがあります。 トリートメントを行うにあたって、当社は完全には必要でないIgEがいくつか含まれていたとしても、「そのIgEはしっかりとそこにあるもの」との認識をもっています。これは、可能な限り多くのアレルゲンについてテストするという目的と、出来る限り多くの可能性を排除し、閾値を下げ、治療を行うという目的のふたつに合致します。 「これがアレルギーの唯一の原因である。」という結果は、現在ではどのような検査を行っても検出できません。弊社の検査を始め、皮内テストにおいても「どのような物質がアレルギーの原因となりえているのか」を検出していくものであります。 「非常に広範」ということが、スペクトラム ラボ社の絶対的な意志です。ご承知のように当社は、過小なアレルゲンに対しても検査と治療をすることにより、 動物の治療の出発点を決して見失わない様、可能な限り当社のテストを鋭敏にしております。これを過敏すぎると思われる先生がいらっしゃるかもしれませんが、最終的には約80%の治療成功率を得ております。もし当社のテストが鋭敏でなくなり、陽性反応の数を低く出すのであれば、先生方に低い成功率しかご提供できない結果となります。 充分なアレルゲン数を検出しないということは、治療の出発点を低くしてしまうことになります。 |
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